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原子力発電所の規制
原子力の災害を防ぐため、原子力発電所をはじめとする原子力施設に対して、国の規制が行われています。
2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故を契機に、原子力発電所などの規制を強化するため、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」(原子炉等規制法)の法改正が行われ、主に次のような点が改正されました。
・重大事故(シビアアクシデント)対策、テロ対策を規制の対象とする。
・すでに認可を得ている原子力発電所や核燃料施設などに対しても、最新の規制基準への適合を義務づける「バックフィット制度」を導入する。
・運転期間の延長認可に関する制度の規定を追加する。
この原子炉等規制法の改正に基づき、原子力規制委員会によって原子力発電所の新たな規制基準が策定され、2013年7月に施行されました。
新規制基準の策定後も、原子力規制委員会では、国際原子力機関(IAEA)が各国の規制の質の向上を目指して実施している総合規制評価サービス(IRRS)を受検した結果を踏まえ検査制度の見直しなどが進められています。
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原子力発電所の審査・検査
事業者は、原子力発電所の運転開始前に原子炉の基本設計や方針などを審査する「原子炉施設設置(変更)許可」、原子炉の詳細設計を審査する「工事計画認可」、そして、運転管理について審査する「保安規定(変更)認可」を原子力規制委員会より受ける必要があります。
運転開始した原子力発電所は、安全・安定運転の確保のため、定期的に検査を行い、設備の健全性を確認するとともに機能維持や信頼性向上のための措置を取っています。
2020年4月から、原子力施設に対する新たな検査制度「原子力規制検査」が運用開始されました。
新たな検査制度では、これまで原子力規制庁が行っていた使用前検査などを事業者自らが主体的に行うものとし、これらの検査を含む事業者の安全活動全般を原子力規制庁の検査官がいつでも現場を自由にチェック(監視)でき、必要な情報も自由にアクセスできるしくみなどが導入されました。
このような新たな検査制度の導入により、事業者はより高い安全水準を目指すこととなっています。
■原子力発電所の審査・検査
出典:原子力規制委員会資料などより2023年12月作成
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運転期間延長に関する認可制度の導入
事業者は、従来から原子力発電所の必要な機能や性能を維持できるよう、最新の設備や機器に取り替えるなどの「高経年化対策」を講じています。
運転開始から30年がたつ原子力発電所に対して、以降10年以内ごとに機器などの技術評価を行い、その劣化を管理するための計画(長期施設管理計画)を策定し、原子力規制委員会から認可を得る必要があります。
また、福島第一原子力発電所の事故を受け、2013年に「運転期間延長認可制度」が導入されました。これは、原子炉を運転することができる期間を40年とし、その満了までに原子力規制委員会の認可を受けた場合には、1回に限り最大20年延長することを認める制度です。事業者は、原子炉容器や格納容器などの重要施設の傷や腐食などを詳しく調べる特別点検を行い、原子力規制委員会へ申請をして審査を受けることになります。
2023年5月に電気事業法などを含む「GX脱炭素電源法」が成立し、運転開始40年以降の運転延長については、経済産業省が電力安定供給の確保やGXへの貢献などの観点から審査し、認可を行うこととなりました。その際、他律的な要素によって停止していた期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外されます(電気事業法2025年6月6日施行)。
■高経年化対策での大型機器などの取り替え(関西電力(株)美浜発電所3号機)
出典:関西電力(株)HPより作成
ワンポイント情報
◆運転期間を延長した原子力発電所◆
日本では、原子力発電所の運転期間は原則40年と定められていますが、原子力規制委員会の認可を受ければ、20年を超えない期間で1回に限り延長ができると定められました。2023年5月の電気事業法を含むGX脱炭素電源法成立により、他律的な要素によって停止していた期間は60年の運転期間のカウントから除外されます(電気事業法2025年6月6日施行)。こうした運転期間は寿命や耐用年数ではありません。計画的な機器の交換や点検などの適切な保守管理を行い、さらに、常に最新技術を取り入れることにより、高い安全性を確保できると考えられます。
原子力規制委員会の審査を経て、高浜発電所1、2号機は2016年6月に、美浜発電所3号機は同年11月に、東海第二発電所は2018年11月に、川内原子力発電所1、2号機は2023年11月に、それぞれ60年までの運転期間延長の認可を受けています。
なお、すでに日本のほか欧米など14か国で100基以上の原子力発電所が40年超運転をしており、2019年12月にはアメリカで初めて80年運転が認可されました。
出典:(一社)日本原子力産業協会資料より2023年12月作成