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廃炉への取り組み
福島第一原子力発電所では、事故により溶けて固まった燃料を取り出し、原子炉建屋の内部の配管や容器などを解体・撤去する作業が進められています。この廃炉プロジェクトでは、長期の廃炉作業に対応した恒久的かつ持続可能な設備形成と運営が必要です。とくに、燃料デブリの取り出しなど、廃炉の本格化に向けて未踏領域の課題に挑戦する段階に入っており、大方針を定める国、技術戦略を策定する原子力損害賠償・廃炉等支援機構、原子力事業者をはじめ意欲ある企業群、研究機関や大学などとの連携を強化し、「総力結集体制」を構築し、廃炉・復興が進められています。
■廃止措置等に向けた中長期ロードマップ(2011年12月制定)
※1 更なる発生量の低減
※2 1~3号機原子炉建屋、プロセス主建屋、高温焼却炉建屋を除く建屋内滞留水の水位を低下し床面を露出
※3 新型コロナウイルス感染拡大の影響および作業の安全性と確実性を高めるため、2023年度後半目途の着手へ工程を見直し
資料提供:東京電力ホールディングス(株)
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燃料デブリの取り出し
1~3号機の原子炉格納容器内には、燃料と燃料を覆っていた金属の被覆管などが溶け、冷えて固まった「燃料デブリ」があります。原子炉格納容器内は、放射線量がとても高いため、内部に入って長時間の作業を行うことが難しい状況です。そこで、ロボットなどを活用して原子炉建屋内の除染や原子炉格納容器の破損状況の確認、燃料デブリの状態の調査が進められています。
現在、初号機として2号機からの燃料デブリの取り出し開始を目指し、準備が進められています。原子炉格納容器の内部調査や燃料デブリのサンプリングで得られた情報をもとに、小規模な燃料デブリの取り出しを行い、その実績を踏まえ、段階的に大規模な燃料デブリの取り出しが進められることになります。取り出した燃料デブリは発電所構内に新設予定の保管設備で保管されます。
■各号機の炉心・格納容器内の燃料デブリ分布の推定
資料提供:東京電力ホールディングス(株)
■燃料デブリ取り出し方針
資料提供:東京電力ホールディングス(株)
■福島第一原子力発電所各号機の状況
2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は運転中。
制御棒を挿入し「止める」ことに成功。
その後、津波により電源を失い原子炉を「冷やす」ことができず、水素爆発により放射性物質を「閉じ込める」機能も喪失。今後の燃料取り出しに向け、建屋全体を覆う大型カバーを設置し、大型カバーの中で、ガレキ撤去等を行う計画。
2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は運転中。
制御棒を挿入し「止める」ことに成功。
その後、津波により電源を失い原子炉を「冷やす」ことができなくなり、水素が発生。隣接する1号機の水素爆発の影響により原子炉建屋の壁の一部が破損したため、水素爆発まで至らなかったが、この破損部分より放射性物質が環境に放出した。オペレーティングフロアの調査結果を踏まえ、原子炉建屋上部を解体せず、建屋南側に「燃料取り出し用構台(構台・前室)」を建設して建屋へアクセスし、燃料を搬出する計画。
2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は運転中。
制御棒を挿入し「止める」ことに成功。
その後、津波により電源を失い原子炉を「冷やす」ことができず、水素爆発により放射性物質を「閉じ込める」機能も喪失。2019年4月に、使用済燃料プールからの燃料取り出し作業を開始し、2021年2月に使用済燃料プールにあった全ての燃料を建屋外に取り出し完了。
2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は定期検査のため運転停止中。
そのため、原子炉内に燃料は無く、建屋内に隣接する使用済燃料プールに1,535本の燃料が存在していた。3号機からダクトを通じて流れ込んだ水素の影響で建屋は爆発したものの、2014年12月に使用済燃料プールにあった全ての燃料を建屋外に取り出し完了。
2014年1月31日付で廃止。
今後、研究開発等の実証試験で活用することを検討。
2014年1月31日付で廃止。
今後、研究開発等の実証試験で活用することを検討。
2022年8月より使用済燃料の取り出し開始。
資料提供:東京電力ホールディングス(株)