このページの要約
- 福島第一原子力発電所では、事故により溶けて固まった燃料を取り出し、原子炉建屋内部の配管や容器などを解体・撤去する作業が進められています。とくに、燃料デブリの取り出しなど、廃炉の本格化に向けた未踏領域の課題に挑戦する段階に入っており、国、原子力損害賠償・廃炉等支援機構、企業群、研究機関や大学などとの連携を強化し、廃炉・復興が進められています。
- 1~3号機合計で推定880トンの燃料デブリがあるとされており、ロボットなどを活用して原子炉建屋内の除染や原子炉格納容器の破損状況や燃料デブリの状態の確認等、燃料デブリを取り出すためのさまざまな調査を進めています。2024年11月、2号機で少量を試験的に取り出し、分析によって性状や生成過程を評価し、大規模な取り出しへつなげる計画です。
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廃炉への取り組み
福島第一原子力発電所では、事故により溶けて固まった燃料を取り出し、原子炉建屋の内部の配管や容器などを解体・撤去する作業が進められています。この廃炉プロジェクトでは、長期の廃炉作業に対応した恒久的かつ持続可能な設備形成と運営が必要です。とくに、燃料デブリの取り出しなど、廃炉の本格化に向けて未踏領域の課題に挑戦する段階に入っており、大方針を定める国、技術戦略を策定する原子力損害賠償・廃炉等支援機構、原子力事業者をはじめ意欲ある企業群、研究機関や大学などとの連携を強化し、「総力結集体制」を構築し、廃炉・復興が進められています。
■中長期ロードマップの目標工程
資料提供:東京電力ホールディングス(株)
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燃料デブリの取り出し
1~3号機の原子炉格納容器内には、加熱した燃料が燃料棒や炉内構造物とともに溶融し、その溶融物が冷えて固まった「燃料デブリ」があります。1~3号機合計で推定880トンあるとされています。原子炉格納容器内は、放射線量がとても高いため、内部に入って長時間の作業を行うことが難しい状況です。そこで、ロボットなどを活用して原子炉建屋内の除染や原子炉格納容器の破損状況や燃料デブリの状態の確認等、燃料デブリを取り出すためのさまざまな調査を進めています。燃料デブリがもつ熱は事故の後、大幅に減少し、原子炉格納容器内の温度は約20~35℃で維持され安定した状態を保っています。ただし、設備の経年劣化などにより、少しずつリスクが高まっていくことが懸念されており、長期的な安全性を確保するために、燃料デブリを取り出して金属製の容器に入れ安全に移送、保管する必要があります。
2024年11月、2号機で少量を試験的に取り出し、日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗研究所に輸送しました。分析によって性状や生成過程を評価し、大規模な取り出しへつなげる計画です。
■燃料デブリ取り出し方針
資料提供:東京電力ホールディングス(株)
■福島第一原子力発電所各号機の状況

2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は運転中。
制御棒を挿入し「止める」ことに成功。
その後、津波により電源を失い原子炉を「冷やす」ことができず、水素爆発により放射性物質を「閉じ込める」機能も喪失。今後の燃料取り出しに向け、建屋全体を覆う大型カバーを設置し、大型カバーの中で、ガレキ撤去等を行う計画。

2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は運転中。
制御棒を挿入し「止める」ことに成功。
その後、津波により電源を失い原子炉を「冷やす」ことができなくなり、水素が発生。隣接する1号機の水素爆発の影響により原子炉建屋の壁の一部が破損したため、水素爆発まで至らなかった。オペレーティングフロアの調査結果を踏まえ、原子炉建屋上部を解体せず、建屋南側に「燃料取り出し用構台(構台・前室)」を建設して建屋へアクセスし、燃料を搬出する工法に見直し

2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は運転中。
制御棒を挿入し「止める」ことに成功。
その後、津波により電源を失い原子炉を「冷やす」ことができず、水素爆発により放射性物質を「閉じ込める」機能も喪失。2019年4月に、使用済燃料プールからの燃料取り出し作業を開始し、2021年2月に使用済燃料プールにあった全ての燃料(566体)を建屋外に取り出し完了。2023年3月より高線量機器の取り出し作業を開始。

2012年4月19日付で廃止。
2011年3月11日の地震発生時は定期検査のため運転停止中。
そのため、原子炉内に燃料は無く、建屋内に隣接する使用済燃料プールに1,535本の燃料が存在していた。3号機からダクトを通じて流れ込んだ水素の影響で建屋は爆発したものの、2014年12月に使用済燃料プールにあった全ての燃料を建屋外に取り出し、リスクは大幅に低減。

2014年1月31日付で廃止。
今後、研究開発等の実証試験で活用することを検討。
使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けて、乾式キャスクを製造。6号機の燃料取り出し完了後に、5号機の燃料取り出しを開始する計画。

2014年1月31日付で廃止。
今後、研究開発等の実証試験で活用することを検討。
2022年8月より使用済燃料の取り出し開始。2025年度を目途に燃料取り出し作業を完了する計画。
資料提供:東京電力ホールディングス(株)