新規制基準を踏まえた原子力発電所の安全確保

青森県六ヶ所村にある再処理工場では、最新の知見に基づき、活断層や地震の発生状況を調査し、基準地震動の評価を行っています。
最も厳しい耐震性が求められている重要な設備には、十分な余裕があることがこれまでに確認されていますが、重要な設備へ影響を及ぼす恐れがあると判断した一部の既存設備や、重大事故への対応で必要となる設備に対し、耐震補強が行われています。

標高約55mの高台に立地し、海岸から十分な距離のある場所に位置していることから、津波対策は不要であることが確認されています。なお、青森県が最大クラスの津波を想定した検討を行った結果、施設などへの影響は、まったくないと評価されています。
また、施設内で水が溢れた場合に備え、設備を保護するための堰や防水扉などが設置されます。

青森県六ヶ所村周辺の十和田と八甲田山の火山活動およびそれにともなう降下火砕物については、操業中に施設へ影響を及ぼす可能性は低いと評価されています。
また、竜巻対策として、屋外に設置している冷却設備を防護するための鋼鉄製ネットの設置などが行われています。

既設の冷却機能を失った場合を想定し、高レベル放射性廃液の蒸発乾固を防止するため、高レベル濃縮廃液貯槽へ冷却水を直接注入するポンプや可搬式のポンプなどが配備されています。
また、冷却に必要な水は、敷地内に貯水槽を建設するとともに、河川や沼などからも確保できる体制が整えられています。

施設の安全性を保つための電源を失った場合を想定し、送電線の2ルート3回線の確保、ディーゼル発電機の複数台設置、複数の可搬型発電機の配備などの対策が行われています。
また、水素爆発対策として掃気用のエンジン付空気圧縮機などが設置されています。

電源や冷却機能を失い、高レベル放射性廃液の沸騰・蒸発が進み、放射性物質が放出した場合を想定し、建屋外に放出される放射性物質をできる限り除去するための可搬型排気フィルタや放射性物質の拡散を抑えるための放水砲が整備されています。

関連情報（詳細）：日本原燃株式会社「安全を最優先に」

青森県むつ市にある中間貯蔵施設（リサイクル燃料備蓄センター）は、使用済燃料の冷却には、電源を必要とせず、水も使用しないことなどから、緊急安全対策が不要な施設と位置づけられました。
2013年までに、電源設備の強化、津波を考慮した貯蔵建屋の浸水防止対策などを完了し、現状の設備は、安全機能に影響はないと評価されています。
また、原子力規制委員会によって、これまで適合性の確認が行われていましたが、2020年11月11日に｢適合している｣として、安全審査に合格しました。

提供：日本原燃（株）