- 1
身のまわりにある放射線
放射線は、目には見えず、においもなく、音もありませんが、私たちの身のまわりに存在しています。大地や空気、食べ物や飲み物に含まれる放射性物質から放射線が出ています。さらに、宇宙からも常に放射線が降り注いでいます。日本人は、1年間に一人あたり平均約2.1ミリシーベルトの自然放射線を受けています。
■一人あたりの自然放射線の内訳
出典:(公財)原子力安全研究協会「生活環境放射線第3版(2020年)」より作成
地球が誕生した約46億年前から放射性物質は存在し、大地の中に含まれる自然の放射性物質から放射線が出ています。大地からの放射線の量は、地域によって差があります。例えば、関西地方は、比較的多くの放射性物質を含む花崗岩が分布しているため、関東地方より放射線量が2~3割高くなっています。
■全国の放射線モニタリング情報
原子力規制委員会のホームページで、国内の空間放射線モニタリング結果を確認することができます。
https://www.erms.nsr.go.jp/nra-ramis-webg/
※モニタリング…放射線の量や放射性物質の濃度を連続的に、または、一定の頻度で測定し、監視すること(原子力施設での放射線や放射性物質の管理 放射線や放射性物質を監視するモニタリング 参照)
空気や食べ物、飲み物の中にも、自然の放射性物質が含まれています。主なものは、カリウム40という放射性物質で、自然界にあるカリウムに0.012%含まれています。カリウムは、私たちの体に欠かせない栄養素であり、体重の約0.2%を占めています。
地球には、銀河系や太陽から放射線(宇宙線)が降り注いでいます。地球の大気や磁場にさえぎられ、地上に届く放射線の量はわずかとなりますが、高い場所の方が低い場所よりも宇宙線による被ばく量が多くなります。
例えば、飛行機などに乗ると、宇宙線による被ばくが大きくなります。また、国際宇宙ステーションなどに滞在する宇宙飛行士の被ばく量は、1日で0.5~1ミリシーベルト程度になります。しかしながら、航空機の操縦士や客室乗務員、宇宙飛行士などで、がんの増加などの健康影響が出ているということはありません。
また、アメリカや旧ソ連などによる大気圏内での核実験が1950〜60年代に行われたことにより、日本の国土にも現在の約1,000〜10,000倍のセシウム137が約10年間にわたり降下していました。このような核実験などが原因で降下してくる核分裂生成物を放射性降下物(フォールアウト)といいます。
世界には、インドのケララやイランのラムサールなど、世界平均の倍以上の自然放射線を受けている地域があります。インドのケララは、砂にトリウムという放射性物質が含まれているため、大地からの放射線が多くなっています。イランのラムサールは、温泉の噴出によってたまったラジウムが原因で、大地から受ける放射線が高い地域です。この地域の住民に、これらの自然放射線による健康影響はみられていません。
■体内、食物中の自然放射性物質
●食物中のカリウム40の量(日本)
(単位:ベクレル/kg)
出典:(公財)原子力安全研究協会「生活環境放射線データに関する研究(1983年)」より作成
-
関連情報(詳細):
「日常生活と放射線」 -
関連情報(詳細):
「食べ物の中にある放射性物質」
■放射線被ばくの早見表
- ※放射線障害については、各部位が均等にガンマ線1Gyの吸収線量を全身に受けた場合、実効線量1,000mSvに相当するものとして表記
- ※空気中吸収線量率から実効線量への換算には0.7Sv/Gyを係数として使用
- ※電離放射線障害防止規則等の改正により、緊急作業従事期間中の放射線を取り扱う作業者の線量限度を2016年4月より250mSvに引き上げ
- ※上記の早見表は、対数表示になっていない
出典:UNSCEAR 2008年報告書ICRP Publication 103, 2007 (公財)原子力安全研究協会「生活環境放射線第3版(2020年)」などより作成