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原子力発電所の構成
【原子炉建屋】
原子炉建屋は、原子炉圧力容器およびこれを納める原子炉格納容器などから構成されています。地震の影響を少なくするため、硬い岩盤の上に直接建てられています。
【使用済燃料プール】
使用済燃料からは、核分裂により生まれた核分裂生成物から崩壊熱が発生するため、使用済燃料プールに入れ、プールの水で冷却されています。
【原子炉圧力容器】
ウラン燃料の核分裂を制御しながら、発生する熱を取り出す水と蒸気の高い圧力に耐える鋼鉄製の容器です。火力発電所のボイラーに相当します。
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原子炉圧力容器内の構成
【燃料集合体】
燃料のペレットを被覆管という長さ4mほどのジルコニウム合金製のさやに密封して燃料棒とし、それらを数十本から数百本束ねた燃料集合体が原子炉の中に装荷されています。燃料集合体の大きさや装荷される燃料集合体の数は、原子炉の種類や発電出力によって異なります。
また、ウラン燃料は、発電に約3年間利用され、約1年に1回の定期検査の際に新たな燃料と交換されます。一度に交換するのは、炉心全体の3分の1から4分の1ほどです。
【制御棒と出力制御】
制御棒を出し入れすることで、核分裂の量を調整して発電出力を制御することができます。核分裂で発生した中性子が、ウラン235の原子核にあたって、次々に核分裂を起こすため、制御棒には、中性子を吸収しやすいホウ素やカドミウムなどの物質が含まれています。不具合が生じた場合でも、対処できるように多数の制御棒が備えられています。
【原子炉冷却材】
炉心は、燃料と制御棒などで構成され、水で満たされています。
水は、核分裂によって発生した熱を炉心から外部へ取り出す冷却材と、核分裂でウランやプルトニウムから発生した中性子の速度を遅くし、次の核分裂を起こしやすくする減速材としての役割を果たしています。
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原子炉を冷却する非常用設備
【非常用炉心冷却装置(ECCS、Emergency Core Cooling System)】
原子炉内にある冷却材(水)を注入する配管が破断した場合に、非常用炉心冷却装置(ECCS)という安全システムが作動します。原子炉内の燃料は、核分裂の連鎖反応が停止した後も、まだ核分裂生成物から発生する熱(崩壊熱)が残っています。その熱で、原子炉の冷却材が失われないように、ECCSが作動し、冷却されます。
■沸騰水型原子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)の違い
沸騰水型原子炉(BWR) | 加圧水型原子炉(PWR) | |||||
原子炉格納容器 |
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蒸気発生器 |
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タービン建屋での 放射線管理 |
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原子炉圧力容器 |
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原子炉の制御 |
BWR・PWR共通原子炉を完全に止めるときは、中性子を吸収する働きをもつ制御棒を一斉に原子炉の中に挿入。
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制御棒と 原子炉スクラム |
構造 挿入方法
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日本の電力会社の 原子炉型式 |
東北電力(株)、東京電力ホールディングス(株)、 中部電力(株)、北陸電力(株)、中国電力(株)、 日本原子力発電(株) |
北海道電力(株)、関西電力(株)、四国電力(株)、 九州電力(株)、日本原子力発電(株) |
出典:中国電力(株)ホームページなどを参考に作成
■沸騰水型原子炉(BWR)の燃料集合体・原子炉圧力容器・冷却設備
出典:エネ百科「原子力・エネルギー図面集」
■加圧水型原子炉(PWR)の燃料集合体・原子炉圧力容器・冷却設備
出典:エネ百科「原子力・エネルギー図面集」