原子力文化コラム

Vol. 7 (2025/1/6)

新年のごあいさつ



一般財団法人日本原子力文化財団 理事長 川井 吉彦
 

新年のごあいさつ


謹んで新年のお慶びを申し上げます。平素より当財団の活動に対し、多くの皆さまから多大なるご支援とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

2024年は、引き続きエネルギー価格の高騰や地政学的リスクが顕在化するなかで、カーボンニュートラル実現とエネルギー安定供給を両立させるための原子力の役割や必要性について、国内外で議論・評価が深まった1年であったと思います。とりわけ、ロシアのウクライナ侵攻を契機にエネルギー安全保障への危機感が高まった欧州各国では、原子力発電所の運転延長や新増設をはじめとする推進の動きが活発化しました。

国際エネルギー機関(IEA)が昨年秋に公表した「世界エネルギー見通し」では、世界の電力需要は、EVの普及、経済のデジタル化、AIの拡大などにより、今後10年間でエネルギー需要全体の6倍のスピードで伸びると予測されています。このような状況の中で、2025年は原子力に対する評価や推進の動きがさらに加速することが予想されます。
日本においても同様に、エネルギー自給率が13%という現状を考えれば、エネルギーの安定供給と脱炭素化に向けた取り組みを一層強化する必要があります。
まずは、規制委員会で審査中の原子力発電所10基の再稼働、さらに来年に延期となった青森県六ヶ所村の再処理工場の竣工や、高レベル放射性廃棄物最終処分場の文献調査の進展など、原子燃料サイクルの確立に向けて一歩一歩着実に前進させることが重要です。

しかし、これらの課題を解決するためには、国民の皆さんの理解と信頼を得ることが欠かせません。そのためには、国や電力会社が、国民や立地地域の皆さんがエネルギーや原子力に対して抱いている疑問や不安に対して真摯に向き合い、客観的な事実やデータに基づいて丁寧に説明し、信頼を構築する努力を続けていくことが何より大切です。

私ども原子力文化財団は、本年も、全国各地域での対話活動や講演会、出前授業など次世代への教育プログラムを通じて、エネルギーや原子力に対する理解を深めていただけるよう、積極的な情報提供と環境づくりを進めてまいります。全国各地で多くのイベントや取り組みを計画しております。当ホームページやSNSでも随時お知らせいたしますので、ぜひご関心をお寄せいただければ幸いです。
本年も、皆さまのご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

 

一般財団法人日本原子力文化財団
理事長 川井 吉彦
川井吉彦(かわい よしひこ)
1943年千葉県生まれ。1968年早稲田大学政治経済学部卒業、東京電力㈱入社。同社広報部長、同社取締役、2009年日本原燃代表取締役社長などを経て、2024年6月から(一財)日本原子力文化財団理事長。
 

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