放射線教育プロジェクト(北海道)
勉強会の様子
- 団体の設立経緯・概要
- 当団体は、北海道教育大学函館校の教員1名、学生5名からなります。学生は皆、本学の地域環境科学グループに所属しており、“地域の環境問題を解決するための科学技術を理解し、身に付ける”ため、理学(物理学、化学、生物学、地学)を中心に学んでいます。理科教員を目指す学生もおり、理科教育について考える中で、放射線教育をもっと身近なものにすることはできないかと考えました。東日本大震災以降、放射線や放射能、原子力発電に関する正しい知識を持つ必要性が高まっていますが、現在、その知識は十分ではありません。現に、私達学生も、これまで施設見学や対話会等をする中で、放射線についての理解が足りないことを実感する機会が多々ありました。そのため、
- 自分たちが、放射線・放射能・原子力発電等の放射線教育に関する知識を身につける
- 将来を担う世代に、放射線を含めた科学技術に関して正しい知識を持ってもらい、多様な選択肢を知ってもらう
- 自分たちでイベントを企画・運営する力を身に着ける
- ことを目的として、当団体を設立しました。
本学では、“地域で活躍する上で必要な実践的課題解決能力を養う”ことを目的とした「地域プロジェクト」という科目があり、私達は、「放射線教育のための教材開発とその実践」というテーマで、当団体の活動の一環としてプロジェクト活動を行っています。
- 企画者の感想
今回、まず自分たちが原子力発電や地層処分に関する知識を習得することを目的としてこの活動を企画しました。勉強会では、地層処分に関する技術的な部分だけではなく、原点に立ち戻って原子力発電の仕組みや廃棄物について、また今後必要になる考え方や諸外国の現状についても講演いただき、とても勉強になりました。特に、正しい情報を身に付けるためには現地に足を運んで実際に自分で体感すること、放射性廃棄物は広くとらえればごみ問題として総合学習のテーマになることなど、教員志望の学生にとっても今後重要となる考え方を教えていただき、強く印象に残りました。これまでに何度か原子力発電や地層処分に関する講演会に参加したことがありますが、今回の勉強会はより私たち教育大学の学生に向けた内容になっていると感じられました。知識だけではなく、その他の部分でも学ぶことが多くあり、大変貴重な時間でした。
勉強会を通して、放射性廃棄物の最終処分地の決定は必ず必要なことですが、国民の理解が得られていないという現状を改めて感じました。私たち学生は、授業の一環でもイベントの企画や体験学習作り、模擬授業をすることがあります。そういった活動の中でも、今回学んだことを活かし、より良いものを作っていきたいと思います。また、少しでも多くの方に原子力発電や放射性廃棄物について興味・関心を持っていただくための活動を行っていきたいと思います。
- 参加者の感想(アンケートから抜粋)
- 高レベル放射性廃棄物については、名前程度しか知らなくて、勉強会を終え、日本では地層処分施設がまだ建設できないこと、それでも廃棄物は多いこと、世界の現状、等々を知ったことで、ようやく、日本の未来を考えられるスタートラインに立てた気がします。
- 膨大で難かしい内容であると感じていた原子力発電、地層処分についての話を理解しながら聞けました。興味深い内容で自分でももっと知りたいと思えました。
- 高レベル放射性廃棄物処分のように、決定・通知だけでは納得のいかない問題を参画・相互作用・協力型へと解決法をさぐる手法にシフトしていく必要があると思いました。
- 放射性廃棄物の処分に関するイベントに参加したことがありますが、今回の内容は技術に関することだけでなく、必要な考え方や他国の歴史についても学ぶことができました。
- 処分場の問題に関して、文系の人たちがもつ経済学・政策学といった分野からの力を借りて、総合問題として受け入れなければならないことが大切勉強になり感心しました。
- どのように地層処分を地域に考えてもらうべきなのか、考えさせられました。誤った、また偏った情報が簡単に発信・受信できる中で、市民の考えを引き出していくことの難しさが分りました。
- 私を含め、原子力発電についての話は難しいと思っている人はたくさんいると思います。生きていく中で、次世代の人々が知っておかなければならない内容だと思うので、苦手に感じている人にも、もっと身近に感じてもらわなければならないなと思いました。
- 最終処分基本方針で、地層処分に関して地域住民とたくさん対話を重ねることをしていくということでしたが、原発の設置時にはできないのかなと思いました。
- 多くの国民が対話に参加しやすい環境をつくっていくことが大切だと思いました。
- 原子力発電はゴミが少ないということでしたが、日本・世界には処分しきれない廃棄物がたくさんあります。これ以上増やすのは、いくら少ないとはいえ好ましいとは言えないと考えます。しかし、今の生活水準を維持しさらに発展していくには電力が必要です。このジレンマに国民が意見を持ち解決に進むことを望みます。