若者と地層処分を学ぶ会(東北)(宮城県)
- 団体の設立経緯・概要
永年原子力関係の職務に従事してきたシニアが原子力の啓蒙活動等を行うため立ち上げた任意団体であり、主に東北地域の学生たちと対話活動等を通して、放射線の基礎知識、エネルギー問題など話し合いを行っている。
一昨年、昨年と支援事業に参画し、学生と幌延深地層処分研究センターを訪問し、若者層への地層処分の理解促進の一助としている。
- 企画者の感想
- 当初、瑞浪、幌延の見学を第一希望と考えたが、瑞浪の火災事故などによる受け入れの遅れなどにより、見学先を六ケ所村の日本原燃に変更した。残念ではあるが、良かった点もある。幌延ではせいぜい8名が限度であるが、六ケ所村では16名の参加をみることができた。原子力発電自体に深い知識がない人も多く、原燃施設、PR館の訪問でもかなりの成果を上げることができたと思う。
ちなみに、アンケートの結果では
①満足できた 11名(学生11名)
②やや満足できた 5名(学生1名)
で、学生は9割の人が①としている。シニアは全員②である。
- 成果
勉強会で、今まであまりよく知らなかった地層処分についてかなり詳しく知ることができた。またその重要性と、敷地選定の難しさを認識した。なお、最終処分地は分散して複数作るべきではないかとの意見も幾人かからあった。
PR館で丁寧に説明をうけわかりやすかった。再処理を含む原子力リサイクルの概要を学ぶことができた。
日本原燃の関連施設では、厳重なセキュリティのされている建屋や実際の使用済み燃料が貯蔵されているプールなど、普段は感じることのできない環境を肌で感じることができた。
マイナスのイメージが強い原発を正しく理解するためには、周囲の噂やマスメディアの情報を鵜呑みにせず、原発関係者から出される情報リソースを得ることが重要であると感じた。今回のツアーは実際の施設を見、関係者の話を聴く機会があり貴重な経験であった。
- 課題
見学できない施設があった。これは各人の見たいものが異なり、また、公開できない施設も多々あるので仕方がない事ではあるが、極力ニーズに応えて頂ければと思う。
シニアと学生の懇談を望む声があった。
2日目かなり時間が余ったので、施設見学後、懇談会、対話会などできれば更に良かったと思う。
- その他
廃棄物処理の施設については、これまで住民説明会というやり方で決めてきたと思うが、指定廃棄物の処分場も決まっていない。こういう賛否の別れる施設の決定には、ステークホルダー対話会が有効と聞いているが、どうか?環境省は、一向にそれを採用するように見えない。また、夫々のステークホルダーの代表者の選任、中立的な学識経験者と何をおいても信頼できるファシリテータに適任者を選ぶ事が重要に思う。対話会の実施は、日本では簡単ではないと思うが、検討の必要がある。
- 参加者の感想(アンケートから抜粋)
- 今回、青森での六ヶ所村原燃PRセンターや、実際に廃棄物を処理している日本原燃など見学するという貴重な経験をすることができたことや、高レベル放射性廃棄物の最終処分について学ぶことで、原発に対する考え方について改めて考え、これからの将来に役立てて行きたいと思う。
- 地層処分場をつくるだけでも、長い月日を費やすが、それ以上に処分場を作る為の場所が見つからず、大変だという事がわかった。
- 初めて高レベル放射性廃棄物の処分について色々聞いて一つ一つの作業が安全に行われていて、事故が無いように配慮されていることがわかり、とてもためになった。
- 専門ではない私達にも、とても分かりやすく理解することができた。
- 実際の施設を見ながら、行程を学ぶことができたため大変理解しやすかった。質問にも丁寧に答えて頂いた事がよかった。
- 同行職員も、勉強会講師も、原燃の方も丁寧に対応してくれたと思う。講演の内容はが、昨年より良かった。
- 今回、原子力について一般の人の知識量が少ないと思っていたが、六ヶ所原燃PRセンターのような施設が一般でも見る事ができればみんな理解が深まると思った。
- 原発の見学は経験があったが、核燃料の処理に関しては知らないことが沢山あったので、2日間のツアーは非常に有意義であったと思う。
- 残り少ない期間で最終処分場を決定しなければいけないことに関して、非常に厳しい現状だということがわかった。国民の理解が足りない現状をなんとかしたいと思った。
- 現場を一部しか見学できなかったが、全てスケジュール通りに見学できて素晴らしい運営と感じた。