コラム「まっさんの窓」

Vol. 15 (2021/6/18)

ビル・ゲイツ氏の語る原子力発電

今月の初めマイクロソフトのビル・ゲイツ氏が、アメリカの原子力エネルギー協会(NEI:Nuclear Energy Institute)の年次総会で、講演をされました。この話の中で、同氏は、改めて原子力発電の長所を的確に話されています。それも、太陽光や風力発電など自然エネルギーに直接触れないまま、それぞれのエネルギーの特徴について語っています。“まっさん”は、その表現が実に分かり易く的確なことに驚きました。次に、その講話の一部を引用します。

<私たちは、カーボン・ネット・ゼロを目指すと同時に、貧しい国々の人々のためにエネルギー確保もしなくてはならない>
「現在、世界は、およそ年間510億トンの温暖化ガスを排出している。私たちは、30年以内にこれをネットゼロにすることを求められている。これは簡単なことではない。現在私たちの手の中にある全ての対応策を講じても十分ではない。一方、多くの低・中位所得国では、豊かな国々と同じようにエネルギーが利用できるわけではない。このような不公平な状況は、そうした国々の開発を遅らせることになる。したがって、私たちは、ネットゼロ排出に努める一方で、所得の低い国々の人たちに更なるエネルギーが利用できるようにしなくてはならない。」、「15年前に、私は、地球上のエネルギー貧困と気候変動の二つの脅威に取り組む専門家会議を始めた。明確になってきたのは、この二つの課題を解決する決定的なエネルギー源は、“先進原子力発電(advanced nuclear power)”だ。」

<原子力発電は、季節のいかんに拘わらず、昼も夜も電気の供給ができる>
「何と言っても、原子力発電は、地球上何処であろうが、季節のいかんに拘わらず、昼も夜も電気を供給し続けることが出来る唯一の“カーボン・フリー”エネルギー源だ。」、「しかも、大型発電設備の稼動は、既に立証されている。原子力発電をさらに利用しないで、将来的に、ネットワークが送る電気を脱炭素化することは、考えられない。」

何と的確で、分かりやすい表現でしょう。

なお、ビル・ゲイツ氏は、2006年からテラパワーという会社を設立し、原子力発電開発に取り組んでいます。
 

理事長 桝本 晃章

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