月刊誌 原子力文化 インタビュー

原子力文化2022年10月号 インタビュー(抜粋)

コロナ禍に負けないためには
― 抵抗力を保ちコンディションを整える ―

三年余にわたるコロナ禍は、個人の健康ばかりでなく、さまざまな分野に停滞を及ぼしています。 長期にわたるこの感染症に対して、個人としてどう対応していけばよいのか。 今月号は、現代医学を修め、かつ中医学にも造詣の深い平馬直樹さんに伺います。

日本中医薬学会会長
平馬 直樹  氏 (ひらま・なおき)

1952年神奈川県生まれ。東京医科大学卒業。医学博士。日本中医薬学会会長、平馬医院院長。北里研究所付属東洋医学総合研究所勤務、中国中医研究院(現中国中医科学院)広安門病院に留学、牧田総合病院牧田中医クリニック診療部長を経て。1996年平馬医院副院長、2007年より院長。2005年から2018年日本医科大学東洋医学科講師兼任。著書に「コロナに負けない体は漢方でつくる」(方丈社)など

  

―― ご著書の『コロナに負けない体は漢方でつくる』を読むと「中西医結合」がキーワードとして出てきたのですが。

日本の医療は、原則としては世界共通の西洋医学を起源とする現代医学で、ほかに民間療法や伝統療法が少し加わっている形ですが、中国では昔ながらの中国伝統医学も医療の一つの柱として国が認め、大学教育も行なわれています。研究も盛んで、現代医学と伝統医学の二本立ての医療が行なわれています。
どちらにも特徴、長所、欠点があるので、両方を合わせてもっと良い医学を作っていこう、というのが「中西医結合」です。この数十年間の発展も目ざましいです。

 

―― 感染症に関しては中医学が非常に効果を上げた、という話を聴いています。

はい。もともと中医学が対象としてきたうちで最も厳しい疾患は、伝染病(感染症)でした。だから感染症に対する豊富な知識、経験、治療体系があり、中国伝統医学では、症状の初期から介入することができます。一方、現代医学は得体の知れない感染症がはやるときに、まず病態の把握にもある程度の時間がかかります。
今回、最初に新型コロナウイルスが発見された武漢では、初期の対応は遅かったと思います。そのために世界に広がったし、死者もたくさん出ました。その後は一か月くらいで、全国から中国伝統医学の医者が医療援助のために武漢に入って活躍して、武漢はロックダウンと徹底的な隔離という二つの柱で早期収束しました。「中西医結合」の治療が、大きな成果を上げたのではないか、と思っています。

―― 太極拳や気功も使うと聞きます。総合的に中国の医学を応用したのですか。


一四か所の隔離病院が作られて、全国から入った医師たちがそれぞれ担当を決めて、現代医学だけで治療する、現代医学と伝統医学が協力して治療する、それから主に伝統医学だけで治療する、そういう病院に分かれたそうです。
その中の一つに、武漢の江夏区という地区に作られた方艙醫院があります。方艙醫院というのは、日本ではコンテナ病院などと言われましたが、野戦病院的な収容施設です。軽症者を収容するものでこの方艙醫院では、主に中医学の治療が行なわれ、漢方薬の投与のほかにも鍼灸の治療、気功などで気の巡りを良くして回復力を促すなど、様々な伝統医学の技術が使われたと聞いています。この武漢の方艙醫院は治療成績がとても良かったそうです。

 

(一部 抜粋)





2022年10月号 目次

風のように鳥のように(第154回)
家の守り神/岸本葉子(エッセイスト)

インタビュー
コロナ禍に負けないためには/平馬直樹(日本注意薬学会会長)

世界を見渡せば(第22回)
いと難しきカタカナ/関 美和(翻訳家・杏林大学外国語学部准教授)

特別インタビュー
フリー配偶体技術で藻場の再生を

中東万華鏡(第79回)
時を測る/保坂修司(一般財団法人日本エネルギー経済研究所 理事・中東研究センター長)

おもろいでっせ!モノづくり(第118回)
奈良の珈琲店に行って来ました/青木豊彦(株式会社アオキ取締役会長)

ドイツでは、今(第52回)
SDGsとは?と聞かれたら答えられますか/川口マーン惠美(作家)

ベクレルの抽斗(第1回)
偶然の幸運に出会う能力/岸田一隆(青山学院大学経済学部教授)

交差点




 

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