月刊誌 原子力文化 インタビュー

原子力文化2017年10月号 インタビュー(抜粋)

仕事にわくわく感やときめきを
― 目指すはオリンピックの金メダルメッキ ―

ピンクゴールドにブルー、レインボー。宝飾品や管楽器にめっき加工がされていることはご存じですか?
中でもめっきをする際に電気を使う「電気めっき」という手法があります。
震災後、大量の電気を使うものづくりの現場では節電、省エネの努力が続けられていました。
電気めっき加工を手がける日本電鍍工業株式会社(埼玉県さいたま市)・代表取締役の伊藤麻美さんに、震災後からこれまでのものづくりの現場での努力、働くということ、女性への応援メッセージを伺いました。

日本電鍍工業株式会社 代表取締役
伊藤 麻美  氏 (いとう・まみ)

東京都生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科を卒業後、フリーランスのDJとして、FMラジオなどで8年間活躍。その後、アメリカに留学し、宝石の鑑定士・鑑別士の資格を取得。帰国後の2000年3月、亡き父親が創業した日本電鍍工業株式会社の代表取締役に就任。業績の悪化していた会社を、3年で黒字化させる。震災後、電源構成を決めた経済産業省の有識者会議の委員も務めた。一児の母。

―― 外の花壇がきれいに手入れされていますね。専門の方が手入れされているのですか。

いえいえ、もともとは、現場でめっきをしていて、70過ぎてリタイアした人がお花好きだったのでやってもらっています。

 

―― 社内を拝見して清掃が行き届いているな、という印象を受けました。

最初からこうではなかったので、そう言っていただけるとうれしいです。
当社はめっき会社なので、普段からきちんと清潔にしていなければなりません。お客さまからお預かりした品物に対して付加価値を与えるという仕事ですし、まして貴金属のめっきなので、かなり高価な材質を使います。中にはエンドユーザーのところにいくときには何千万円になる品物もあるので、そういったものをお預かりする以上、あまり粗雑な環境だと、違ったお客さまのところに品物が行ってしまったり、何か紛失したときにすぐ出てこなかったりということが起こりかねません。何かを探しているとそれだけ生産性が落ちてしまいます。
会社、工場は整理・整頓・清掃・清潔・しつけという5Sを徹底していってこそ品質やお客さま満足度が高まると思っていますので、少しずつ徹底したいと取り組んでいます。

 

―― トランペットなど管楽器のめっきをはじめ、金属アレルギーの方でもつけられるようにアクセサリーにチタン加工などもされているのですね。個人の方からのご注文もあるのですか。

個人の方のご注文もありますね。特に楽器などはマウスピースを自分の好みの色にしてもらいたい、2色にしてもらいたいなど、そういったご要望もあります。めっきを塗ると見た目だけではなくて、音質も変わるらしいです。私のような素人には分かりませんが、音楽家に言わせると、この金属だと音が硬くなる、軟らかくなるなど、違いがあるそうです。
あと、宝飾品などはアレルギーがある方も多いですね。ニッケルが入ると、どうしてもアレルギーを起こしてしまう方もいるので、「ニッケルを含まないめっきをお願いしたい」というご依頼をいただくこともあります。

 

(一部 抜粋)




2017年10月号 目次

 

風のように鳥のように(第94回)
勝手にクリーニング/岸本葉子(エッセイスト)

インタビュー
仕事にわくわく感やときめきを/伊藤麻美(日本電鍍工業株式会社 代表取締役)

特集1
ここまできた重粒子線のがん治療

特集2
北斎、その生涯とキャラクター

特集3
ルポ「高浜町に行ってきました」

中東万華鏡(第19回)
奴隷から女王へ:悲劇の女性スルターン/保坂修司(一般財団法人日本エネルギー経済研究所 研究理事・中東研究センター 副センター長)

おもろいでっせ!モノづくり(第58回)
朝ドラの女性の生き方をと思うてたのに/青木豊彦(株式会社アオキ取締役会長)

笑いは万薬の長(第39回)
女性研究者:生き方バラエティ/宇野賀津子(公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センターインターフェロン・生体防御研究室長)

交差点

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