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核燃料サイクルのしくみ

核燃料サイクルとは、原子力発電で使い終えた燃料から核分裂していないウランや新たに生まれたプルトニウムなどをエネルギー資源として回収し、再び原子力発電の燃料に使うしくみです。
原子力発電の燃料になるウランは、ウラン鉱石として鉱山から採掘されます。このウラン鉱石には、核分裂しやすいウラン235が約0.7%、核分裂しにくいウラン238が約99.3%含まれています。
これを発電に使いやすいようにウラン235の濃度を高めるなど、さまざまな工程(製錬→転換→濃縮→再転換→成型加工)を経て、燃料集合体に加工して、原子炉の中に入れ、発電を行います。
ウラン235の原子核に中性子をあてると核分裂し、核分裂生成物の生成とともに中性子を放出し、同時に熱エネルギーが発生します。発電では、主にこの熱エネルギーが利用されています。
一方、ウラン238は、ほとんどが核分裂をせず、中性子を吸収して核分裂しやすいプルトニウム239に変わります。
3年程度の間、発電に使われた燃料は取り出されますが、使用済燃料には、核分裂せずに残ったウラン235やウラン238、そして新たに発生したプルトニウム239が合わせて95~97%含まれています。
このウラン・プルトニウムを再処理「再処理と使用済燃料の中間貯蔵参照」という工程で回収し、混合酸化物燃料(MOX燃料、Mixed Oxide Fuel)とすれば、再び原子力発電所で使用(プルサーマル)することができます。

サイト内ページ:核燃料サイクルの意義

関連情報(詳細):ニュースでよく聞くあのはなし「リサイクルできる原子力発電の燃料」

発電によるウラン燃料の変化(例)

発電によるウラン燃料の変化(例)

出典:電気事業連合会「原子力コンセンサス」より作成

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

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核燃料サイクル事業の状況

核燃料サイクル事業は、日本原燃(株)(JNFL、Japan Nuclear Fuel Limited)が中心となって青森県六ヶ所村で進められています。1992年3月にウラン濃縮工場、1992年12月に低レベル放射性廃棄物埋設センター、1995年4月に高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが、それぞれ操業を開始しています。
なお、ウラン濃縮工場は、年間1,050トンSWU(SWU:ウランの濃縮に必要な仕事量を表す単位)の規模で操業を行っていましたが、新型遠心分離機への置き換え工事のために一旦操業を停止しました。その後、従来の遠心分離機を順次、新型の遠心分離機に置き換え、2013年5月までに年間75トンSWUの生産運転を再開していましたが、安全性向上工事や新型遠心分離機への更新工事などのため、2017年9月より自主的に生産運転を一時停止しています。
JNFLの再処理工場は2024年度上期のできるだけ早期のしゅん工に向けて工事中、MOX燃料工場は2024年度上期のしゅん工を目指して建設工事が進められています。

核燃料サイクル施設の位置

核燃料サイクル施設の位置

提供:日本原燃(株)

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

核燃料サイクル

核燃料サイクル

※1 MOX(Mixed Oxide)燃料:プルトニウムとウランの混合燃料

※2 使用済MOX燃料についても、使用済ウラン燃料と同じように再処理する方針

関連情報(詳細):エネ百科「原子力・エネルギー図面集」

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